最後のケチャップはあまりにも無邪気に

名古屋行ってきました。
プチ*パルティ2にサークル参加したコキリン氏たちに付き合って……、というのはあくまでもタテマエで、本当の目的は某腐男子の邸宅を漁るために。
まあ、収穫物については彼の名誉のために敢えて触れないとして、しかしながら、片道十時間近くかけて千葉から名古屋まで出向いて、現地で食した「名物」が喫茶マウンテンの変態メニューというのはいかがなものか。ひつまぶしも天むすも味噌カツも差し置いて。
そして、マウンテン初体験という身分でありながら、いきなりピカンテピラフ激辛に挑む私は、もっといかがなものか。
ええ、私はひねくれ者ですとも。みんなが「甘口抹茶小倉スパ」とか「甘口キウイスパ」「おしるこスパ」など、マウンテンの王道とも言うべき甘味メニューに挑む中、ひとり辛味という名の覇道を志した私は。


さて、周囲の皆に料理が届き、それぞれがそれぞれの「山」を登り始める中、遅ればせながらやってきた私の「山」は、量が尋常ではないことを除けば割と普通のピラフ。で、何やら赤いソースが端のほうに大量にかかっていて、それとは別に目玉焼きがのっかっている。
この赤いソースが「ピカンテ」なのかと思いきや、口にしてみればただのケチャップ。
じゃあ、何がピカンテなのか?と思ってよく見てみると……、先生! なんかこのピラフ、うっすらと緑色をしていますよ!
(後から調べたところ、どうやらピカンテとはタバスコの一種で、主成分はハラペーニョらしい)
とりあえず、ケチャップをつけずに一口食ってみる。
……辛い。かなり辛い。
数口食った。
胸から上が熱くなり、顔中から汗がドバドバ出てきた。勘弁してくれマジで。
さらに数口食った。
もはや水を飲まずにはいられない。それなのに、飲んだところでまさに焼け石に水
意外な伏兵が、先述のケチャップである。こいつのしょっぱさが舌の上で化学変化を起こし、どういうわけか辛味をさらに増幅するベクトルへと作用するのだ。当然トマトの味は全然しない。
全体の四分の一を食した頃には、すでに舌は麻痺して辛味以外の味を感じなくなっていた。もはやピラフの味はしない。私が食べているのはピラフではなく、ピカンテだ。
せめての口直しと思って、すがりつくように食した目玉焼きも、残念ながら何の効果も発揮しなかった。ああ、こいつは罠だ。挑戦者をぬか喜びさせるためのフェイクだ。畜生。
「今の私ならヨガインフェルノが吐けそうです」
これはもう食事ではない、拷問だ。全力で挑戦者を殺しにかかる「食べる兵器」である。そういえば「暴君ハバネロ」の紹介ページに「トウガラシが武器として使われていた」というエピソードが書かれていたが、それを思い出した。
ココイチの5辛なんて問題にもならねえ。


結局私は、半分食べたところで断念した。腹痛がきたのもあるが、それよりも「これ以上食ったら命にかかわる」と本能がヘルプコールを叫んだことが大きい。ちなみにマウンテン用語では、完食することを「登頂」、断念することを「遭難」、仲間に手助けしてもらうことを「救助要請」と言う。
私以外の遭難者は、甘口キウイスパを頼んだキナ氏。残りを数口いただいた分には結構イケると思ったが、やはり大皿一枚分は勘弁してもらいたいところ。
一方はるひめ氏は、マウンテンの最高峰のひとつ、甘口抹茶小倉スパを制覇。五分以内に完食するのがポイントで、さもなくばクリームが溶けて大変なことになるらしい。
他に、盛ってある容器の五倍近い高さのかき氷や、ドリンクがなみなみと注がれているジョッキの上にアイスがかぶさっているフロートシリーズ、鯛焼きが丸ごと入った和風パフェなど、非常に見どころの多い初登山でありました。


で、その翌日。我々はまたもマウンテンに出向いたわけで……。
絶対間違ってるよ、この集団。
私が頼んだのは、前回メニューを見て気になっていた「カレーピラフスペシャル」。あくまでも辛味に走る私。しかし、普通のカレーピラフが無いのに「スペシャル」とはこれいかに。
そして出てきたのは、カレーがかかっているだけのピラフ。
何か罠があるのかなー、と思って食べてみたところ……、
これが意外なくらいうまい。こんがり焼けた香ばしいピラフとカレーのハーモニーが絶妙なのだ。
しかしながら、舌つづみを打てたのは途中まで。マウンテンのメニュー全体に言えることだが、とにかく量が多くて、しかも脂っこい。全体の半分を平らげた頃には、気持ち悪くて食べるスピードも低下していった。
今回はなんとか登頂できたものの、あとは何も食べる気が起きず、ストロングコーヒーを一杯飲むのが精一杯であった。(コーヒーにはクッキーとパンケーキが付いてきてお得)
周囲に目を向けてみると、某腐男子が甘口キウイスパに挑んで半分もいかないうちに遭難。甘いもの苦手なくせに無理すんなや。そして、口直しに「ミニハンバーグカレー」を頼んだところ、出てきたのはマウンテン標準盛り(つまり普通の基準で言えば特盛り)のカレー。一体どこがミニなのか、と思ってよく見てみたら、乗っているハンバーグがミニなのでありました。ただし三個。
そして、二日目から参加の胡桃氏が、なんとピカンテピラフ激辛を制覇! さすが現役男子高生。しかしながら後日談になるが、彼は翌日腹痛で学校を休んだとのこと。恐るべし、マウンテンの裏最高峰。


そんなわけで、結果は一勝一敗だった私の初登山。
次に来たときは甘味に挑みたいなー、と思いつつ、名古屋をあとにしたのでありました。